『住職の一言』

ふー、すっかり暖かくなるものと体も準備しておりましたのに、この寒さは本当にこたえます。彼岸明けの今日、境内から見える箱根連山は真っ白です。

魚偏に春で鰆(さわら)です。瀬戸内で獲れた新鮮なのを食べる機会がありましたが、それは、それは、酢の物よし、勿論焼いてよしです。しかし、味から想像しますと小型で、姿もよく、親しみの持てる魚のようですが、実際は、体長約1メートルでマグロを細長くした姿で、体の上部には青緑色の班紋がたくさんあり、獰猛そうな感じがします。

木偏に春で、椿です。ものの本によると、日本人と椿のかかわりは五千年の歴史を持つそうです。花がポトリと落ちるので、茶花以外はあまり好まれておりませんが、中国ではおめでたい花とされています。境内にもいろいろな椿が植わっていますが、ほとんどは竹やぶに自生したのを移植したものです。中には「ぼくはん」、「しろぼくはん」という変り種もあります。

奈良の三名椿のうちの一つである、傳香寺の散椿(武士椿ーモノノフツバキー)という花弁が桜のように一枚一枚と散り、散際のよいといわれる椿をお参りかたがた見てきました。可憐な椿です。他の二つは、東大寺開山堂近くにある良弁椿と白毫寺の七福椿です。
東大寺の修二会は14日に無魔成満されましたが、二月堂に奉安されている、観世音菩薩立像の両側に置かれた花瓶の花も椿です。ただし、これは練行衆が心を込めて手でお造りになった、紙と木の椿です。

ご来山かたがた桜のまえに椿をお楽しみください。